中国を起源とする烏龍茶は、日本でも多くの人々に親しまれているお茶の一つです。そのすっきりとした口当たりは食事との相性も抜群で、幅広いシーンで愛飲されています。独特の芳醇な香りと奥深い味わいが、世界中の茶愛好家を魅了し続けています。
しかし、この魅力的な烏龍茶について、あなたはどこまでご存じでしょうか?その名の起源や歴史的背景、多種多様な銘柄、そして手間暇かけた製造プロセス、秘められた健康効果、さらにはご自宅で最高の一杯を淹れるためのコツまで、知られざる側面が数多く存在します。
本記事では、烏龍茶に関する基礎知識から、その奥深い魅力に至るまでを徹底的に掘り下げてご紹介します。これを機に、烏龍茶への理解を深め、日々の生活に彩りを添える一助となれば幸いです。
名前の由来
烏龍茶という名称の起源については諸説語り継がれていますが、中でも最も広く知られているのは「茶葉の外観」に由来するという説です。この説は、烏龍茶ならではの視覚的特徴に深く根ざしています。
烏龍茶の茶葉は、発酵と乾燥の工程を経て、次第に黒みを帯びていきます。その様子は、まるで「烏(カラス)」の羽のような深みのある色合いを呈します。同時に、茶葉が細く巻かれ、まるで天空を舞う「龍(リュウ)」がうねるような独特の姿へと変化します。これらの特徴から、「烏のように黒く、龍がうねるが如き」その姿が、烏龍茶という名称の由来となったと広く信じられています。
この他にも、烏龍茶の創始者のあだ名に由来するという説も存在します。例えば、開発者の本名が蘇龍であり、彼の通称が烏龍であった、といった言い伝えがその一例です。
誕生時期
烏龍茶は中国をルーツとするお茶であり、その起源は今からおよそ500年前の16世紀にまで遡るとされています。当時の烏龍茶は、一般の飲料としてよりも、皇帝への「献上茶」として特別に製茶される、極めて貴重な高級品でした。したがって、当時の庶民がこのお茶を口にする機会は、ほとんどなかったと考えられています。
時を経て、烏龍茶の生産は徐々に規模を拡大し、中国の一部の地域では一般の人々の間にも普及し始めました。しかし、現代においても烏龍茶は高級茶としての地位を確立しており、中国国内では驚くほど高値で取引される銘柄も少なくありません。特に最高級とされる烏龍茶葉の中には、500グラムで100万円を超える価格がつくこともあり、その希少性と価値の高さがうかがえます。
烏龍茶の種類
緑茶や紅茶が多種多様であるのと同様に、烏龍茶にも膨大な数の品種が存在します。その数は数百種類にも及ぶとされ、それぞれの産地や独特の製法によって、個性豊かな風味と香りが生み出されています。
その中でも代表的なものとして、中国福建省で生産される「鉄観音」と「岩茶」が挙げられます。これらの銘柄は、いずれも極めて高い品質を誇る高級茶として知られ、日本茶における最高級の「玉露」にも匹敵するほどの価値と洗練された風味を有しています。
鉄観音(てっかんのん)
鉄観音は、中国福建省南部の安溪地域を中心に栽培される、特徴的な閩南(びんなん)系烏龍茶の一種です。台湾で親しまれている「凍頂烏龍茶」や「台湾鉄観音」なども、この系統に分類される烏龍茶として知られています。
この烏龍茶は発酵度が比較的浅めです。そのため、緑茶を思わせるような清涼感あふれる香味が特徴として挙げられます。口に含むと、緑茶のような爽やかさの中に、まろやかな甘み(旨味)と心地よい渋みが絶妙なバランスで感じられます。舌触りは非常に滑らかで、後味は驚くほどすっきりとしています。さらに、まるで花園にいるかのような甘く上品な香りがふわりと漂い、飲む人を特別な気分に誘います。
岩茶(がんちゃ)
岩茶は、福建省北部に位置する武夷山地域を中心に生産される、独特の閩北(びんほく)系烏龍茶です。特に有名な銘柄には、「武夷水仙」、「武夷奇種」、そして「肉桂(にくけい)」などがあります。武夷山の険しい岩肌で育った茶葉から作られることから、「岩茶」の名が冠されています。
この烏龍茶の発酵度は約40%とやや高めで、紅茶に近い芳醇な香味が特徴です。味わいは、舌に残るような強い渋みはなく、甘みも控えめで上品です。口にすると、しっかりとしたコク(鉱物的な印象)が感じられ、後にはさっぱりとした爽快感が広がります。香りは、力強く華やかな蘭の花を思わせる甘い香りが際立ち、一度味わうと忘れられない個性を持っています。
緑茶・紅茶との違い
世界各地には多種多様なお茶が存在し、それぞれが独特の風味と香りを持っています。特にヨーロッパで広く飲まれる「紅茶」、日本で親しまれている「緑茶」、そして中国を代表する「烏龍茶」の三つは、その味わいの違いを語る上でよく比較対象となります。
驚くことに、これら異なる風味を持つ三種類の烏龍茶、緑茶、紅茶は、すべて同じ「チャノキ」(学名:Camellia sinensis、ツバキ科ツバキ属)という植物の葉から作られています。では、一体なぜ同じ茶葉から生まれるにもかかわらず、これほどまでに香味が異なるのでしょうか?その答えは、茶葉を「酸化発酵させる度合い」が、それぞれ異なるプロセスを経ているからです。
茶葉にはもともと「酸化酵素」が含まれており、この酵素の働きを最大限に利用して茶葉を完全に発酵させることで、深い色と豊かな香りを特徴とする紅茶が生まれます。
一方、緑茶は、摘み取られた新鮮な茶葉を素早く加熱し、酸化酵素の活動を停止させることで作られます。この工程により、茶葉本来の鮮やかな緑色と、清々しい風味がそのまま保たれるのです。
そして烏龍茶は、紅茶と緑茶の中間に位置する、独自の製法によって作られます。茶葉の発酵をある程度まで進ませつつも、完全に発酵させずに途中で止める「半発酵」という工程が、烏龍茶の最大の特長です。この半発酵が、緑茶の持つ爽やかさと紅茶の芳醇さを兼ね備えた、烏龍茶特有の複雑で奥行きのある香味を創り出しているのです。
烏龍茶の製造工程
烏龍茶は、その比類ない風味と香りを生み出すために、いくつもの緻密な工程を経て作られます。ここでは、一般的に行われる烏龍茶の製造過程について、段階を追って詳しく解説していきます。
❶生葉摘採(採茶=ツァイチャー)
烏龍茶づくりは、まず「生葉摘採(ツァイチャー)」と呼ばれる工程からスタートします。ここでは、これから素晴らしい烏龍茶となる新芽と若葉を丁寧に摘み取ります。日本の緑茶とは異なり、烏龍茶特有のまろやかな風味を引き出すため、苦みが強く出やすい若すぎる芽ではなく、ある程度成長して開いた状態の若葉を選んで摘むのが特徴です。その多くは、烏龍茶の品質を左右する重要な段階であるため、熟練の職人の手によって一枚一枚丁寧に摘み取られます。摘み取られた茶葉は鮮度が命。その日のうちに次の製造工程へ移るため、朝露が乾いたよく晴れた日の午前中に収穫されることが一般的です。
❷日干萎凋(晒青=シャイチン)
摘み取られたばかりの烏龍茶の生葉は、次に「日干萎凋(シャイチン)」というプロセスを経て、ゆっくりと水分を失わせます。天候に恵まれた日には、茶葉を広い場所に均一に広げ、太陽の光と自然の風を浴びさせることで、葉の内側の水分を程よく蒸発させます。一方、天候が悪い日には、特別に設計された萎凋槽で温かい風を送り、同様に葉をしおれさせる作業が行われます。この工程によって茶葉はしなやかさを増し、内部の酸化酵素が活動を開始することで、その後の烏龍茶独特の発酵を促す準備が整います。一般的には、太陽光を浴びせた方が烏龍茶らしい豊かな香りと味わいが生まれるとされています。朝早くに摘まれた葉に付着している朝露は、品質に影響を与える可能性があるため、一旦屋内に広げて軽く乾燥させてから日干萎凋の工程に移ることもあります。
❸室内萎凋(涼青=リャンチン)
日干萎凋を経て茶葉の温度が上昇し始めたら、次の段階である「室内萎凋(リャンチン)」へと移行します。この工程では、茶葉を静かに屋内の棚に広げ、ゆっくりと熱を冷ましていきます。この冷却作業は、烏龍茶の発酵が過剰に進むのを防ぐとともに、茶葉全体の水分状態を均一に整える重要な役割を果たします。これにより、次なる本格的な発酵工程へスムーズに移行するための土台が築かれます。また、この段階で烏龍茶が本来持つ繊細な香りを最大限に引き出すための準備も行われます。
❹回転発酵(搖青=ヤウチン)
室内萎凋を終えた烏龍茶の茶葉は、いよいよ「回転発酵(搖青=ヤウチン)」と呼ばれる工程に進みます。葉の周辺をこすり合わせて、傷をつけることによって発酵を促進させます。昔は竹かごに入れた茶葉を揺らしていましたが、現在は竹かご製のドラム状の中に茶葉を入れ、分速60回転くらいで回します。茶葉はこの揺り動かしによって徐々に縁の部分から赤褐色へと変化していきますが、中心部分はまだ緑色を保っています。この「半発酵」という独特の状態こそが、烏龍茶ならではの芳醇な香りと深い味わいを生み出す極めて重要な鍵となるのです。
❺釜炒り(殺青=シャーチン)
茶葉が理想的な半発酵状態に達すると、「釜炒り(殺青=シャーチン)」と呼ばれる加熱処理によって、それ以上の発酵を停止させます。この工程では、茶葉を熱した釜で素早く炒ることで、酸化酵素の働きをほぼ完全に不活性化させます。これにより、烏龍茶ならではのデリケートな香りが固定され、品質が安定し、風味が損なわれるのを防ぎます。伝統的な製法では、傾斜した釜を使って手作業で丁寧に炒られることが多いですが、大規模な製茶工場では、より効率的な機械式の炒葉機が用いられることもあります。
❻揉捻(揉捻=ロウニェン)
釜炒りで熱せられたばかりの茶葉は、間髪入れずに「揉捻(揉捻=ロウニェン)」という作業で丁寧に揉み込まれます。専用の揉捻機や手作業で上から適切な圧力をかけながら揉むことで、茶葉全体に均一なねじれが生じ、内部の水分が均等に行き渡ります。この揉む工程を通じて、茶葉内に残る細胞成分が複雑な化学反応を起こし、烏龍茶特有の深みのある香りと豊かな味わい、そして心地よいコクが形成されていきます。
❼締め揉み(包揉=パオロウ)
揉捻を経た茶葉は、次に「締め揉み(包揉=パオロウ)」の工程で最終的な形状へと整えられます。これは、大きな布で茶葉を包み込み、転がしながら、あるいは絞り上げるようにして力強く揉み込む作業です。この繰り返しによって、茶葉はより密に締まり、均整の取れた形に整形されると同時に、烏龍茶の香味成分や旨味、まろやかさが一層凝縮されます。現代の烏龍茶製造では、その美しい外観と複雑な風味を追求するため、この締め揉みと乾燥のサイクルを15回から20回にも及ぶ回数で繰り返すことがあります。特に、最終段階で強い力を加えてより丸く形を整える工程は「団揉」と呼ばれ、烏龍茶の象徴的な珠状や半球状の形状を生み出します。
❽玉解き
締め揉みによって固く締まった茶葉の塊は、次の「玉解き」の工程で丁寧にほぐされます。この作業により、茶葉がそれぞれ均等に分離され、その後の最終乾燥工程で熱がムラなく伝わるための準備が整います。玉解きは、烏龍茶が均質に乾燥し、最終的な製品の品質を最高の状態で安定させるために非常に重要な役割を担っています。
❾乾燥(烘焙=ホンペイ)
整形を終えた茶葉は、「乾燥(烘焙=ホンペイ)」の工程で、じっくりと時間をかけて水分を除去されます。伝統的な製法では、かまどの熱源の上に鉄製の蓋を置き、その上に茶葉の入った専用のカゴを乗せ、温かい空気を利用して乾燥させるのが一般的です。この最終的な乾燥処理によって、茶葉の水分量は最適な状態に調整され、龍がとぐろを巻くような烏龍茶特有の形状がしっかりと固定されます。また、この工程で微かな「火香」と呼ばれる、烏龍茶ならではの香ばしい風味が加わることもあります。
❿荒茶(毛茶=マオチャー)の完成
上記の全ての複雑な製造工程を経て、ついに「荒茶(毛茶=マオチャー)」が誕生します。この荒茶は、通気性の良い麻袋などに丁寧に詰められ、次の段階である仕上げ工場へと運ばれます。仕上げ工場では、適切な温度と湿度が保たれた倉庫で大切に保管され、その後、実際に消費者の手元に届く直前に、烏龍茶の品質をさらに高めるための最終的な仕上げ加工が施されます。この仕上げ加工のプロセスは、日本茶の製造過程における仕上げ工程と多くの共通点を持っています。
含有される成分
烏龍茶には、その独特の風味や健康面での恩恵をもたらす多様な成分が豊富に含まれています。ここでは、特に注目すべき2つの主要成分について深掘りしていきます。
カフェイン
烏龍茶の魅力の一つとして、カフェインの含有が挙げられます。カフェインが持つ覚醒作用により、烏龍茶を飲むことで頭がすっきりとし、リフレッシュ効果が期待できるでしょう。集中力を高めたいデスクワークや勉強の合間の一杯としても最適です。
しかし、就寝前に摂取すると、その覚醒効果によって寝つきが悪くなる恐れがあるため、飲む時間帯には配慮が必要です。特に、お子様や妊娠中、授乳中の方は、カフェインの摂取量に注意を払う必要があります。日本食品標準成分表2015年版によれば、烏龍茶100mLあたりに含まれるカフェインは約20mgとされています。
烏龍茶ポリフェノール
烏龍茶は、その製造過程で茶葉を部分的に発酵させることで生まれるため、完全発酵を経ない緑茶と比較すると、カテキン類の含有量は少なめです。しかし、この独特な発酵プロセスこそが、烏龍茶に特有の「烏龍茶ポリフェノール」という成分を生み出す源となります。この烏龍茶ポリフェノールには、多角的な健康効果が期待されており、近年ますます注目を集めています。
具体的な研究では、以下のような健康促進作用が示唆されています。
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口内環境を整える働きが期待されています
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血圧の安定化をサポートする可能性が示唆されています
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血中のコレステロールや中性脂肪のバランスを整える働きが期待されています
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美容や若々しさの維持をサポートする抗酸化作用
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体脂肪の蓄積を抑えることで、健康的な体重管理をサポートする働きが期待されています
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体内の炎症反応を和らげ、健やかな毎日をサポートする働きも研究されています
特に、烏龍茶ポリフェノールは、体内の脂質代謝を活発にする酵素の働きを促進する作用があると言われています。この働きこそが、「烏龍茶を飲むとダイエットに良い」とされる理由の核心です。日々の食事とともに烏龍茶を取り入れることで、これらの多様な健康効果を実感できるでしょう。
おいしい淹れ方
ご自身で茶葉から丁寧に淹れた烏龍茶の味わいは、コンビニやスーパーで手に入るペットボトル製品とは一線を画します。淹れたてならではの芳醇な香りと、茶葉本来が持つ繊細で奥深い風味は、格別な体験をもたらしてくれます。
本格的な烏龍茶の淹れ方としては、中国で伝統的に行われる「功夫茶(ゴンフーチャ)」が有名です。これは専用の茶器を使用し、細部にまでこだわって時間をかけてお茶を淹れる作法であり、中国の本格的な茶館などでその流儀を見ることができます。この功夫茶で淹れた烏龍茶は、一度味わえば忘れられないほど美味しく、その魅力に深くはまってしまう方も少なくありません。
しかし、ご家庭で日常的に功夫茶の儀式を楽しむとなると、準備や後片付けの手間、また専用の茶器を揃えること自体が少しハードルとなるかもしれません。そこで、ここではもっと手軽に、ご家庭でも気軽に烏龍茶の豊かな風味を引き出せる淹れ方をご紹介します。
ご家庭で楽しむ簡単な淹れ方
烏龍茶本来の美味しさと香りを最大限に引き出すためのポイントを押さえながら、以下の手順で淹れてみましょう。
①湯呑みと急須を温める
まず、沸騰させたばかりの熱湯を、湯呑みと急須のそれぞれに注ぎ入れ、しっかりと内部を温めてください。このひと手間が、お茶がすぐに冷めてしまうのを防ぎ、茶葉の持つ豊かな香りを最大限に引き出す上で非常に重要です。十分に温まったら、中のお湯は捨てて次の準備に移ります。
②急須に茶葉を入れる
温めておいた急須に、烏龍茶の茶葉を投入しましょう。茶葉の分量は個人の好みに委ねられますが、一般的な基準として、300ml程度の急須に対し、烏龍茶葉4~6g(およそ大さじ1杯分)が適切とされています。この茶葉量を加減することで、自分好みの濃度や香りのバランスを見つけることができるでしょう。
③急須にたっぷりとお湯を注ぐ
沸騰直後の熱湯を、急須が満たされるまでたっぷりと注ぎ込みます。烏龍茶の茶葉は、熱い温度であるほど十分に開き、豊かな香気成分を放ちやすくなります。特に、花のような華やかな香りを特徴とする烏龍茶においては、高温での抽出がその魅力を最大限に引き出す鍵となります。
④蒸らす
熱湯を注ぎ終えたら、急須の蓋をしっかりと閉め、烏龍茶を蒸らし始めます。この蒸らし時間は、烏龍茶の味わいや香りの質を決定づける極めて重要な工程です。一般的な時間の目安として、一煎目は1~3分、二煎目は1.5~3.5分、三煎目は2~4分と、淹れるごとに約30秒ずつ時間を延ばしていく方法をおすすめします。こうすることで、煎ごとの烏龍茶が持つ繊細な風味の変化を存分に堪能できるでしょう。
⑤急須内の烏龍茶を注ぎ切る
烏龍茶の醍醐味は、煎を重ねるごとに移り変わる風味の多様性にあります。しかし、急須の中に淹れたお茶を残してしまうと、茶葉の持つ香味が一度に全て抽出され尽くし、後の煎で味わいの変化を楽しむことが困難になります。したがって、毎回、急須の中のお茶は残さず湯呑みへ注ぎ切ることが肝要です。通常、最初の一煎目では清々しい香りを主に味わい、二煎目からは徐々に深みを増す渋みや豊かなコクを堪能することができます。上質な茶葉であれば、四煎目くらいまで、その繊細な風味の移ろいを満喫できることでしょう。
多彩な烏龍茶の楽しみ方
烏龍茶は、一般的に淹れたての熱い状態で味わうのが伝統的な飲み方ですが、ひと手間加えることで、これまでのイメージを覆すような風味のバリエーションを発見できます。ちょっとした来客時や、いつもの休憩時間に、趣向を凝らした烏龍茶ベースのドリンクで気分転換を図ってみるのも良いでしょう。
ひんやり烏龍茶ドリンク
暑い季節や気分をリフレッシュしたい時に最適な、冷たい烏龍茶のアレンジレシピをご紹介します。
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烏龍茶+ジンジャーエール: 各1/2カップを合わせるだけで、スカッと爽快な口当たりの一杯が完成します。
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烏龍茶+ヨーグルトドリンク: それぞれ1/2カップずつ混ぜ合わせると、まろやかでフルーティーな烏龍茶の味わいが楽しめます。
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烏龍茶+アセロラジュース: 同量をブレンドすることで、ビタミンCも摂取できる美容効果も期待できるドリンクになります。
温かい烏龍茶ドリンク
肌寒い時期や、心安らぐひとときを過ごしたい時にぴったりの、温かい烏龍茶のアレンジはいかがでしょうか。
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烏龍茶+チョコミルク: 烏龍茶と牛乳を各1/4カップ、チョコレート30g、塩ひとつまみを混ぜて温めます。芳醇な烏龍茶の香りとチョコレートの甘さが織りなす、至福のハーモニーを堪能できます。
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烏龍茶+梅しょうが: 烏龍茶3/4カップに、梅干し1個、しょうゆ小さじ1/4、おろししょうが少々を加えます。体がじんわり温まる、どこか懐かしい和風テイストのドリンクです。
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烏龍茶+メープルシロップレモン: 烏龍茶1/2カップに、メープルシロップ小さじ2、スライスレモン1枚を加えます。甘酸っぱい風味が心地よく、リラックス効果も期待できる一杯です。
まとめ
烏龍茶は、その奥深い歴史、独特の製造過程、そして多様な健康効果を併せ持つ、非常に魅力的なお茶です。古くは中国の朝廷への献上茶として誕生し、半発酵という独自の工程を経ることで、緑茶の清涼感と紅茶の豊かな香りを融合させた、他に類を見ない風味と香りを創り出しています。
特に、烏龍茶に含まれるポリフェノールは、口内環境の維持から健康的な体重管理のサポートまで、幅広い健康メリットが期待されています。日々の生活に烏龍茶を取り入れることで、体の内側から健やかな毎日をサポートしてくれるでしょう。本格的な工夫茶の淹れ方から、手軽な日常使い、さらに今回ご紹介したようなアレンジレシピまで、様々な方法で烏龍茶を味わうことができます。
烏龍茶本来の香りを最大限に楽しむためには、温かい状態でいただくのが最も推奨されますが、水出しやアレンジドリンクなど、様々な楽しみ方があります。ぜひこの機会に、烏龍茶の奥深い世界を体験し、日々の生活に彩りを加えてみてはいかがでしょうか。
烏龍茶と緑茶・紅茶の相違点
烏龍茶、緑茶、そして紅茶は、いずれも「チャノキ」という同一の植物の葉を原料としていますが、加工工程における「発酵の進行度合い」によってその種類が分かれます。具体的には、緑茶は発酵を最小限に抑えた「非発酵茶」に分類され、一方の紅茶は発酵を最大限に進めた「全発酵茶」です。対照的に、烏龍茶は発酵を途中で意図的に止める「半発酵茶」という位置づけになります。この中途半端な発酵こそが、緑茶のような清々しさと紅茶のような深いコクという、両方の良い点を融合させた独自の味わいと香りを創出する秘密です。
烏龍茶の呼称の起源
烏龍茶という名の由来には複数の説が存在しますが、最も広く信じられているのは、その「茶葉の形状」に着想を得たという説です。烏龍茶の茶葉は、発酵と乾燥の工程を経て「カラス」を思わせる深い黒色を帯び、同時に「龍」が身をくねらせるように細長くよじれた独特の姿になります。この「カラスの羽のように黒く、龍がうねるように細長い」見た目から、「烏龍茶」と名付けられたと言われています。その他には、このお茶を開発した人物のニックネームが元になったという見解も存在します。
烏龍茶ポリフェノールの健康効果
烏龍茶ポリフェノールは、烏龍茶が発酵する過程で生み出される特有の化合物です。このポリフェノールには、口内環境を整える働き(抗齲蝕作用)、高血圧や高脂血症に関する健康維持への寄与、美容維持、体脂肪の抑制、そして健やかな毎日をサポートする働きなど、非常に幅広い健康上のメリットが期待されています。特に注目すべきは、脂質の代謝に関わる酵素の働きをサポートする作用があることで、「烏龍茶は健康的な体重管理に役立つ」と語られる背景には、このメカニズムが大きく関係しています。日々の食事とともに烏龍茶を取り入れることで、これらの多様な働きをサポートし、健やかな毎日を送る一助となるでしょう。
烏龍茶に含まれるカフェイン量
烏龍茶はカフェインを含有しています。文部科学省が公表している「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」によれば、烏龍茶100ミリリットル中にはおよそ20ミリグラムのカフェインが含まれていると示されています。カフェインには精神を高揚させ、眠気を覚ます作用があるため、リフレッシュしたい場面では有効ですが、寝る前や妊娠中・授乳中の女性、そしてお子様などは、その摂取量に配慮することが重要です。
ご自宅で美味しい烏龍茶を淹れる秘訣は?
自宅で格別の烏龍茶を楽しむためには、いくつかの準備と手順が重要です。まず、急須と湯呑みは、沸騰したてのお湯で十分に温めてから使うことで、お茶の温度が保たれ、香りが引き立ちます。茶葉の量は、300ccの急須に対して約4~6gが適量です。熱いお湯をたっぷりと注ぎ入れたら、一煎目は1~3分ほど蒸らし、二煎目以降は30秒ずつ蒸らし時間を延ばしていくと、烏龍茶ならではの豊かな香りと味わいの変化を段階的に堪能できます。最も肝心なのは、一煎ごとに急須の中のお茶を完全に注ぎ切ること。これにより、渋みが出にくく、次の煎でも均一な美味しさを保てます。
烏龍茶にはどんな代表的な種類がありますか?
烏龍茶はその多様性で知られ、数百種類にも及ぶ品種が存在します。中でも特に有名なのが、中国福建省を起源とする「鉄観音」と「岩茶」です。鉄観音は、福建省南部の安渓地方が主な産地で、その特徴は、まるで花のような甘く華やかな香りと、口の中に広がる穏やかな甘みです。台湾で人気の「凍頂烏龍茶」も、この鉄観音の一種とされています。一方、岩茶は福建省北部の武夷山地域が原産で、「武夷水仙」や「肉桂」などが代表的。こちらは蘭を思わせる力強い香りと、奥深いコクのある風味が特徴的です。
烏龍茶はどのようにして作られるのでしょうか?
烏龍茶は、摘み取りから最終的な乾燥に至るまで、幾多の複雑な工程を経て丁寧に作られます。主要な製造工程は、「生葉摘採(茶葉を手摘みする)」「日光萎凋(摘んだ茶葉を天日で柔らかくする)」「室内萎凋(室内で冷まし、均一な状態にする)」「攪拌発酵(茶葉を揺らすことで発酵を促す)」「殺青(釜で加熱し発酵を止める)」「揉捻(茶葉を揉み込む)」「布包揉(布で包み込んで形を整える)」「解塊(固まった茶葉をほぐす)」「乾燥(余分な水分を取り除き、形状を固定する)」、そして最終的な「荒茶の完成」という流れです。特に、部分的に発酵させる「半発酵」という独特の工程が、烏龍茶特有の複雑で奥行きのある風味を生み出す鍵となっています。

