現代の忙しい生活の中で、心身の健康を維持することはますます重要になっています。多くの人が健康志向を高める中で注目されているのが「五穀の力」です。古来より日本文化に根付く五穀は、栄養価と健康効果を備えています。これらの伝統的な穀物は、単なる食材を超えて、私たちの体と心に豊かさをもたらす要として、古代から現代に至るまで多くの人々に支持されています。
五種類の穀物
五穀とは、主要な五種類の穀物のことを指します。その内容は時代や地域によって異なり、固定されていません。「穀物」の範囲に入らない作物や、食用以外にも利用価値のある重要な作物が「五穀」に含まれる例も見られます。例えば、豆や麻などが典型的に五穀に含まれることが多いです。
また、「五穀豊穣」（穀物が豊かに実ること）のように、具体的な五種を特定せずに穀物全般を指すこともあります。
「いつつのたなつもの」または「いつくさのたなつもの」という言葉が日本で古くから使われていますが、その意味するところは時代や地域によって異なります。現代においては米、麦、粟、豆、そして黍や稗がこれに含まれることが多く、これらは人々の主食として重要な役割を果たしています。五穀をブレンドした米は「五穀米」として親しまれています。
また、五穀は密教の修行で用いる五つの食材を指すこともあります。近世になると、「五穀」という言葉は重要な作物全般を指すようになり、必ずしも5種類という固定観念に縛られなくなりました。
米が主食である日本では、その生産が不安定であるため、他の穀物や野菜を混ぜた食事が一般的でした。このため、日本で「穀物の絶対視」という食物への価値観はあまり生まれず、五穀と雑穀の区別が曖昧だったとの指摘もあります。
この概念は古代中国にも遡ることができ、五行説に基づく5の数で物事をまとめる習慣がありましたが、その内容は一定ではありませんでした。
さらに、一説にはこれに一つ加えて「六穀」とする考えもあり、具体的には稲、黍、稷、粱、麦、豆（場合によっては苽）が含まれました。